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ステレオフォンケーブルを作ってみた

アンフェノールコネクタの色分け やってみた工房
この記事は約15分で読めます。

先日購入したキーボードミキサーの"Key-Largo"をメインにシステムを組み始めましたが、市販ケーブルで対応すれば足元がケーブルのジャングルになるのが目に見えていたので、ジャストな長さでスッキリさせるべくフォンケーブルを自作することにしました。

今回制作するのは

  • キーボードから足元のKey-Largoまで繋ぐステレオのフォンケーブル 2対
  • ボリュームペダルとKey-Largoをステレオのセンドリターンで繋ぐYケーブル 2対
  • Key-Largoからモニター用STAGEPASへ繋ぐステレオのフォンケーブル 1対

MainからPAに繋ぐケーブルは、会場にある回線を直接繋ぐ想定の為、今回は準備しません。本記事では、ステレオフォンケーブルを取り上げます。

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ケーブルを束ねる

デュアルケーブルと言っても要するにフォンケーブルを2本束ねただけなので作り方は基本的に普通のシールドケーブルと同じです。束ね方ですが、市販のデュアルケーブルは接着されてますが、接着のDIYは仕上がりがへたくそになりそうで嫌だったので、今回はこちらを使いました。

編組スリーブ

編組スリーブというものです。よくバイクなどの配線をまとめるのに使われています。これならケーブルを通すだけでまとまるし、ケーブルの見た目も何となく良くなるので今回はこれでまとめます。このシリーズは色のバリエーションもあるので用途別に色分けしてもよさそうです。

ケーブル長を決めてスリーブを通す

今回はケーブルの直径×2の内径でスリーブを注文したので、コネクタを付けてからではスリーブにケーブルが2本入りません。先にケーブルを通しておく必要があります。

編組スリーブにケーブルを通す


となると必要な長さを見積もって2本の長さを出しておくのが最初の仕事です。

次に二股になる部分をどのくらいの長さにするのかを決めます。両端の二股分を差っ引いた長さでスリーブを切って、先ほど切ったケーブルをスリーブに通す。

今回の長さは、いつも使ってるキーボードスタンドに据えてKey-Largoまで垂らした状態から長さに遊びを少し持たせた程度、といういわゆる「現場合わせ」で長さを決めました。

2本束ねるだけでも結構ケーブルが曲がりにくくなりますので、束ねるときなど普通のケーブルより取り回しがきつくなりますので注意が必要です。それと、二股部分を短くするとケーブルを片方挿したときにもう片方のケーブルに遊びがなくなって挿しづらくなるのでこぶし1個分くらいは最低取った方が良いと思います。この調整が自由に効くのがDIYの利点だと思います。

この時点でケーブルの全体像が見えたと思います。

資材紹介

今回使用するケーブルはMogami2534

オーディオファンからも支持される4芯のマイクケーブルです。ホントは1芯のケーブルでも作れるのですが、性能と単価差から普通のシールドでもこの線を使っています。

コネクタ側ですが、私はamphenol(アンフェノール)というメーカーのコネクタを使用しています。

古いパソコンマニアなら聞いたことがあるかもしれませんが、アンフェノールと言えばパソコンのパラレル接続コネクタの規格名の方が馴染みがある人もいると思います。PC-9800シリーズでプリンタとのパラレル接続はアンフェノールハーフピッチコネクタでした。
企業名がそのまま規格名に使われたというほどの信頼感からこちらを使用しています。

見た目もスターウォーズとかディズニーのトゥモローランド辺りで使われてそうな感じが妙な魅力を感じます。

(けどスターウォーズのウェイファインダーに刺さってるケーブルはViaBlue社のケーブルだと個人的には思っている)

コネクタとケーブルをつなぐはんだですが、私が使っているはんだは日本アルミットのKr-19RMAです。

NASAで使用する機器の回路の80%がこのはんだを使用しているとか。

不純物の少なさと「ぬれ」が良く少量でもしっかり付くので作業もしやすいです。

コネクタの取付

では、先端にコネクタを付けていきます。今回はキーボード側をL型端子、Key-Largo側を直端子にしました。

「据付型の端子にL型を選定するのは端子の接触面がいつも同じ場所になって局所的な劣化に繋がるから良くない」という意見を聞いたことがありますが、会場が狭いと出捌けの時にキーボードの線に人がぶつかるという事がよくあります。これが原因で楽器側のジャックを壊してしまうと大惨事です。後の修理もメーカーに入院となってしまいます。
L型であればそのような接触のリスク軽減に繋がることと、劣化対策を施した上でそれでも劣化したら交換した方が費用対効果的にもメリットがあると私は思います。

対してKey-Largo側の直端子の理由はいたって単純。Key-Largoは端子の間隔がぎっちぎちでL型を挿す余裕がないからです。

アンフェノールL型コネクタ

早速作成に入りますが、ケーブルにコネクタを付ける際の最初にやることは、スリーブを先にケーブルに通しておくことです。
先にこれをやっておかないとコネクタを固定できないことになるので、せっかくのはんだ付けを外すことになります。これほど空しい作業はないですし、あまりヤニ等で端子を汚したくないので、避けたい事態です。
普通のケーブルを作る場合なら間違ってスリーブを忘れてはんだ付けしても、片方がまだ未加工なら反対側から入れてやることでワンチャンあるのですが、今回は編組スリーブでまとめていて反対側から入れられないので、間違ったら即アウトです。気を付けましょう。

スリーブを通して、外側の被覆を取り外すとこんな感じ。

シールドを剥いだところ

青い線と白い線が2本ずつ、そして外側に"シールド"の所以でもあるシールド線が入っています。
今回はTSケーブル(モノラル)を作るので青の線をHot(+),白の線とシールドをCold(-)にします。

このシールド線の取り扱いにも諸説あり、シールドはコネクタに触れさせない、片側だけシールドをColdに落とす、両方落とすという3パターンがあります。
私は両方落とす派です。その辺りのうんちくは後で別記事にてまとめたいと思います。

被覆を少し多めに取り、素線を手でねじって拠ったらはんだを流し込んで固定します。作業しているといくらしっかり拠っていても先っぽとか脇とかからはみ出した素線が枝毛みたいに飛び出したりします。これが少し触れるだけでもショートに繋がります。はんだを流して固めてしまうことで作業もしやすくなりますし、予備はんだにもなるのでやっておいたほうが良いです。

両極ともはんだで固めたらちょうどよい長さにニッパーで切りそろえます。先端ははんだ付けしたときに予備はんだが溶けて毛羽だった感じになりやすいのでわざと長く拠っておいて、途中のしっかり拠られた部分をつかうことで毛羽立ちが他の極に触りにくいようにするためです。

コネクタに予備はんだを落としておいて、下側のColdから繋ぎます。アンフェノールの端子はケーブルを引っ掛けられるようにフックが付いています。このフックと外皮を固定する3本の爪でかしめればはんだ付けしなくても固定できそうですが、私はこのフックを無視してはんだ付けしています。接触面の導電率を上げるためなのですが、ここも後でうんちくします。

Hotにもケーブルを通す穴が空いてますがこれも無視で予備はんだをして、しっかりとはんだ付けします。

HotとColdの端子間が離れているのでショートの心配が少ないのもいいですね。

アンフェノールのコネクタはアルミダイキャスト性なので、絶縁の為にカバーのビニールキャップを付けてフタをすれば完成です。

アンフェノールコネクタの色分け

今回はステレオケーブルなので、R側に赤のビニールテープを巻いておきました。ちょっとカッコ悪いので後でもう少しかっこいい識別方法にしたいのですが、この辺りはカラーブッシングのあるノイトリックの方がいいなぁと思うところです。


今回は宇宙にでも飛んでいきそうな材料でケーブルを製作してみました。あとはそれを鳴らす人間のスキルを磨かねば。

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