巷はWindows11リリースの話が上がっており、人柱レビューが続々と挙がっておりますが、ニッポンのローカルな会社の情シスはWindows10の半期アップデートがやっぱり喫緊の課題です。
今期(21H1)は割と成功率はいいなーなんて油断していたら早速食らいました。
Microsoft Office Standard 2016 の構成が正常に完了しませんでした
アップデートが完了してWinverでバージョンアップされたことも確認出来て、さぁ業務再開と思ってExcelを開こうとしたらこのエラーです。
この表示の後に
このアプリケーションのライセンスが見つかりません。修復は失敗したか、中止されました。Microsoft Officeを終了します。
という無慈悲なメッセージボックスが現れてアプリが終了してしまいます。
勿論ライセンス違反の事実はありません。
しかもこのエラー、タチの悪いことに「コントロールパネル」→「プログラムと機能」から「修復」を選択すると、進捗度合いを示す緑色のプログレスバーがほぼ100%まで行ったあたりから徐々に減りはじめ、0%になってさっきのエラーが表示されるという、笑うに笑えない現象が起きます。
減るとかナニコレ、MSギャグなの?もうこれGIFにして見せてやりたい気分。
で、いっそのこと再インストールだ!と言ってアンインストールして再度インストールすると、進捗度合いを示す緑色のプログレスバーがほぼ100%まで行ったあたりから徐々に減りはじめ、0%になってさっきのエラーが表示されるという、笑うに笑えない現象が起きます。
結果、officeが消えて入らないという最悪の事態に陥ります。
【急ぎの方はここだけ読んで!】修復方法
- レジストリエディタを起動します。
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- スタートキー→"regedit"とタイプするのが最速かと。
- バックアップを取っておきます
- 一番上の階層「コンピュータ」で右クリック→「エクスポート」を選択して任意の名前で保存
- HKEY_USERS→S-1-5-20にアクセス許可を付与
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- 階層から、コンピューター→HKEY_USERS→S-1-5-20を選択、右クリックで「アクセス許可」を選択
- NETWORK SERVICE の存在確認
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- 「グループ名またはユーザー名」の一覧に「NETWORK SERVICE」というグループがいなくなっていることを確認する。
- NETWORK SERVICE の追加
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- 「追加」をクリックして「選択するオブジェクト名を入力してください」のテキストボックスに"NETWORK SERVICE"と入力して「OK」をクリック
- NETWORK SERVICE にフルコントロールを付与
- 「NETWORK SERVICE」に「フルコントロール」を「許可」にして「OK」をクリック
これで再度officeを立ち上げると何事もなかったかのように動き出します。
解決に至るまでのLong and Winding Road
Officeのバージョンを上げる
この現象が発生する原因としては、使用している Office 2016のバージョンが古いために発生する、というのを見つけました。
バージョンを 16.0.7167.2060 以降に更新するようアナウンスされています。
で、アップデートを入手する方法は?となると、「ファイル」→「アカウント」→「アップデート」を選択する方法がよく紹介されていますが、うちのExcelを見てみると、
そもそもそんなボタンが無い。。。
会社ではこのパターンが多いと思いますが、ボリュームライセンスで購入した場合はアップデートボタンがありません。アップデートはWindowsUpdate側で実施されます。恐らくWSUSとの絡みでしょう。
設定→更新とセキュリティ→Windows Update→詳細オプション→「Windowsの更新時に他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る」をオンにすればUpdateのサーバーから降りてきます。
・・・が、うちの環境ではオンにならない・・・。親会社のグループポリシーで強制オフにされているようです。
だからといって・・・
ライセンス認証が失敗するので グループポリシーに変更を依頼したいんですけど・・・
なんてお願いしたら
はぁ?何言ってんだ、メーン?
になるのは目に見えているので次なる手を。
マイクロソフト提供の回復アシスタントを使ってみる
Microsoftのtechnetあたりを彷徨っていると「回復アシスタント」を試してみる、というのがありこちらを試してみました。
と言いながら、MSさんの「なんとかアシスタント」とか「トラブルシューティング」とかは私の経験上今まで効いた試しがなく、その成功率は1%を割るのではないかとも思っています。
昔の「FixIt」は割と成功率の高いトラシューツールでしたが、Windows10からはサービスが終了して「トラブルシューティング」に集約されています。
こちらからダウンロードが可能です。
内容はトラブルシューティングツールにちょっと専門性が付加された感じの内容で、ClickOnceで起動時に都度内容が更新されているようです。
officeを選択します。
「サインインしてofficeアプリをライセンス認証または使用できません」という項目が新たに追加されているようです。アレ?今回は行けるんじゃね!?期待が高まります。
システム情報が読み込まれるとコンピューターの再起動が必要な場合がある旨のメッセージがあるのでofficeを閉じて実行します。
エラーが発見されたようで回復処理が走ります。思ったより優秀じゃん!
しかし、PC再起動後起動させてみるもエラーは直らず。結局トラシューは空振りでした。
涙目でもう一度Technetで調べてみるとこんな記述が。
埒が明かないので、マイクロソフトのプロサポートに問い合わせました。
状況を伝えましたがなかなか返事が返ってきませんでしたので、並行して、ウィルス対策ソフト(F-secure)の観点からも調べることにしました。そこで、F-secure側から見た、WindowsUpdateの適用状況を調べたところ、現象の出ているPCと、WindowsUpdateが正常に適用されていないPCとがほぼ合致していることが判りました。
F-secureのサポートに問い合わせたところ、そうした事例があり、\HKEY_USERS\S-1-5-20 のアクセス権で、NETWORK SERVICE というグループへのアクセス権を調べてくれという情報を貰いました。
見ると、現象の出ているPCについては、このグループ自体が無く、手動でグループを追加して、フルコントロールのアクセス権を付けたところ、現象が出なくなりました。
https://social.technet.microsoft.com/Forums/ja-JP/2a84f58e-e7ad-4141-a0fe-1c721749ab9d/windows
この内容で試してみたのが前の章に書いた手順となります。
このエラーの個人的考察
"S-1-5-20"というのは「ネットワークサービス」というWindows既存のユーザーです。アプリがOS上で各種サービスを展開する時に使用するためにあります。
恐らくオンラインライセンス認証はバックグラウンドで認証用プログラムを走らせ、この「ネットワークサービス」というユーザーを介して認証する仕組みなのだろうと思います。
その認証役自体がいなくなってる!ていうことで認証ができずエラーとなる。いくらofficeを修復しようが再インストールしようが、office自体は壊れていない。けど認証してくれる人がいないからエラーとなる、というのが今回の真相かと思います。
Windows10の大型アップデート適用時にネットワークサービスがいなくなってしまう、というのはググっている限りでも割とあるようで、どのバージョンでも発生しているようですし、古くはWindows7の頃からもエラー報告があります。マイクロソフトお得意の既知のエラーってヤツですかね。
この状態はいろいろググった結果、システムエラー:0x80070005に該当するエラーだということが分かりましたが、今回のメッセージには一切そんな記述はなし。
既知のエラーでもなんでも、エラーの時はエラーコードを表示してもらいたいものです。ノーヒントはキッツいです。
で、0x80070005の対応方法はMicrosoftサポートで公開しています。私がやった手順が全て書かれていました。対応が済んでから見つかるのは空しいものです。