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配属後いきなり全社ネット不通 02_配線図を作ろうの巻

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この記事は約11分で読めます。

ネット不通騒ぎの翌日、配線図をセンパイからGetしようとしたところ、
「配線図はない」
とのこと。理由は「LANってのは双方向通信だからどこにつないでも繋がるんです!」なので。
(*゜Д゜)<#$%DBH#(; 
とか言ってても始まらないし、「配線図が無ければ作ればいいじゃない」ということで配線図を作ることにしました。
で、この状態から配線図を作る為にしなければならないことは?

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1本ずつ手繰って調べる

残念ながらこれしかありません。仮に過去資料がどこかにあるとしても解読する時間の方が掛かる可能性もあるし、何より配線図が自分の腑に落ちてきません。

めんどくさくても、途方が無くても、洗礼と思って地道にやります。センパイは配線の調査は手伝ってくれない様子。ひとりサーバ室で1本ずつ手繰ってもぐって調べた結果が以下の通り。

ネットワーク配線図Before

ツッコミどころ満載です。現場としては驚愕の事実ですよ。敢えてツッコむと

今日のツッコミどころ

  • なぜネットワーク根幹のドメインサーバーが最下層にいるのか
  • GIGA通信対応のHubがなぜ最下層にいるのか
  • なぜ最上位Hubが10/100Mbps対応のミニHubなのか
  • 運用が終了したシステムサーバーをネットワークに繋いでおく理由は?
  • ラックにサーバーを収めるときに必要な回線数を見積もらなかったのか?
  • この状態で闇雲に抜き差ししてたら絶対ループ起こすだろ!

他にもいろいろあるでしょうがとりあえずここまで。

このツッコミについて、センパイは
「今の状況ではどうしようもないんですよ!」
とかしか答えがもらえなかったので状況からの推測ですが、

なぜネットワーク根幹のドメインサーバーが最下層にいるのか
新システム導入時の設置場所の兼ね合いと、設置時のLANポートの空きが最下層だったので
GIGA通信対応のHubがなぜ最下層にいるのか
新システムの予算で併せて買ったもので、旧システム周りはいじれなかったので

なぜ最上位Hubが10/100Mbps対応のミニHubなのか

旧システム周りの配線をいじって波及事故になると収集が付かなくなるから
運用が終了したシステムサーバーをネットワークに繋いでおく理由は?
繋いでおかないと旧システムにあるデータを見たい時に見られなくなるから
ラックにサーバーを収めるときに必要な回線数を見積もらなかったのか?

はい。

アンサーの中にはこの後迫りくる闇が隠れているのですが、それは別の機会に。

何はともあれ、このままでは他の波及事故が起きかねない、再びネットが落ちても収集が付かないので
以下の段取りで再配線を実施することに。

再配線の手順

  1. ネットワークに接続が必要な機器を洗い出す。
  2. 層が深くならないような配線を考えて、配線図にする
  3. 必要なケーブルの本数、長さを見積もる。
  4. 配線前に現物を照らし合わせて接続ポート、配線の収納場所を確認する
  5. 配線を変更する為にネットを止めるアナウンスを全社にする
  6. 時間が来たら、時間をたっぷり使って配線を交換する

では、順番にやっていきましょう。

ネットワークに接続が必要な機器を洗い出す

社内全体を考えると複数の拠点、拠点内での機器配置とか途方も無くなるので、今回は問題となった幹線周り、サーバ室だけで考えます。ざっと整理すると

  • 光回線のルーター
  • 本社オフィスの各部署シマの幹線
  • 本社の会議室の幹線
  • 本社と別棟にある拠点を結ぶプライベート光回線の光コンバータ
  • サーバのLANポート

24ポートのHUB1台があれば収まりそうです。

旧システムはOSが古いことと、使用者がいないのでネットワークから外します。むしろ24時間立ち上げていた意味が分からん。(と思っていましたが、ここにも落とし穴が。後述)

層が深くならないような配線を考えて、配線図にする

タコ足、ダメ、ゼッタイ。

現在のネットワーク構成では幹線だけで5層となっています。自宅のコンセントなんかもそうですが、タコ足配線はよくありません。

100Vコンセントでのタコ足配線は幹線での消費電力が知らず知らずのうちに定格電力(よくあるのは1500w)を越してしまって発熱による火事になるとかですが、LAN配線は、正に今回のような「管理の収集が付かなくなる」が主な理由です。

狭い車線をなくそう

また、今回も発生していますが、幹線側に古いHUBがあることで通信速度が限られて「ボトルネック」になってしまっています。

車で例えると、4車線位の道路の途中が工事なんかで1車線に減っているとそこのせいで後続は渋滞になってしまいますよね。まだ壊れていないから、まだ通信できるから、配線を替えるのが怖いから等という理由で古い規格のHUBがいまだに使われるパターンはローカルの中小企業ではまだまだ珍しくないことだと思います。

この際ですから、長年頑張っていただいたセンパイHUBさんには卒業していただき、新しいHUBを買いましょう!

幹線HUBはケチらない

ちなみにセンパイの場合は更に、「システムは金食い虫」のレッテルを張られて、購入伝票を起こすこともためらっていた様子。ひとり情シスにはこういった精神的理由も買えない理由として挙がってくると思います。

HUBはポート数の多い、高いモデルでも5万円の充当予算でお釣りがくる価格帯です。一般企業でよくありがちな「設備投資案件になる10万円の壁」を越さない予算で買えるのでここはしっかり説明して最低でも16ポート以上のGIGABIT対応HUBを調達しましょう。

「全社の通信速度と安定性向上」と言えば、ほとんどの人が「ネットが切れなくなって速くなるなら」とハンコをくれるはずです。

ちなみに16ポート以上を推した理由として、あくまでベンダーさんからの伝聞ですが
16ポート以上になると、以下の点が安いモデルと仕様変わってくるそうです。

16ポート以上のHUBを勧める理由

  • 8ポートモデル辺りはポートの基盤が1枚ものなので、ポートの基盤が死ぬと全ポートが死ぬが、16ポート以上のモデルはセパレートで配置されるので、全ポートがいきなり死ぬという確率が少ない。
  • ラックに収める事を前提とした設計になってくるため、シャーシが金属製になり、堅牢性が増す
  • ループ検知、ポート死活監視等の自己監視機能がほぼ標準で備わるようになる
  • 増設用の回線を独自に持つモデルがあったりもする

もし同じく「金喰い虫」にされていてもここは我慢のしどころ。頑張って通しましょう。
私もこの時は予備機を含め24ポートを2台購入しました。

配線図はカッコつけない

層は浅く、サーバーは1層目、だいたい頭のなかでプランができたら配線図を書きます。
「LAN 回線図」で検索すると、LAN配線の概要を図式化したような物や、線がビシッと書き込まれた力作まで色々出てきますが
正直、「線でつなぐ」イメージで作図すると、何処と何処が繋がってるのかを見るときに結局図で線をトレースしないといけないので、パッと見で理解できない。
何より作図してる途中で迷子になる、絶望感に苛まれてくるなど良い事がありません。

配線図を書く目的は「図を見れば接続先が分かること」なので、私は線を引くことはおススメしません。

何より私が「もういやだ!帰る!」ってなったので。

LANは双方向通信なので配線図にもそれを盛り込みたくなるのですが、繋がってる先さえ分かればよいので上流からの単方向で書くと分かりやすい、というのが私の持論です。「配線図力作コンテスト」とかに芸術作品を納品する訳ではないのです。パッと見て分かればいいのです。

私はExcelでざっくり書きました。

excel配線図

必要なケーブルの本数、長さを見積もる。

実は現状の配線、ラック裏が恐ろしいことになっていました。

  • 長短様々なケーブルが何十本と垂れ下がっている
  • 長さが余ったケーブルは床に転がったまま
  • 足元がケーブルだらけで、ケーブルを踏まないとサーバーラックの裏にたどり着けない
  • サーバーラックの後ろの扉が開ききらないし閉まらない
  • 何本かLANケーブルがラックのキャスターに踏まれている

何故こうなったのか、現場検証から推測されたことは以下の通り。

  • どこかで使用済みになった、機器を買った時に付いてきたおまけのLANケーブルを回収しておいて在庫にしている。
  • ラックを置く場所がなく、机と机の間に無理やりラックを押し込んだ。
  • 在庫品で配線したのでちょうどいい長さが無く、無駄に長い線を使うことになった。
  • ラック脇のケーブルラックにも床下にも収める事もできないくらいの量になり、むき出しにするしかなかった
  • 銀行振込PCを使う時にサーバー作業をしていると邪魔になって通れないので、なるべく壁側に寄せたら扉が開ききらない。

先述のセンパイのLANプチプチ入替も、この床下の線を踏んだ状態でなんとか裏まで入って、扉の隙間から視界の悪い状態でプチプチやっていたのです。

なんで実は「センパイの背中を見て」ないんです。狭くて1人でも身動き取れないんですから。

こんな状態では、踏んだ拍子、バランスを崩した拍子にLANが抜ける、下手したら電源が抜けるなんてことも十分可能性があります。

今回はサーバ室のLANケーブルを総交換することに決めました。

オーディオファンやギタリストの間では「配線は極力短く!」が鉄則だったりします。LANに関しても、1本100mを越した通信はできないとか保証できないとか言われるくらいなので、長さによる伝送損失はあると考えるべきで、短い方が通信速度アップに繋がるはずです。それに、ジャストの長さで配線されたサーバーラックの配線面は美しいです。

ジャストな長さのLANケーブルを調達する方法となれば、LANケーブルの自作となります。但し、自作ケーブルは既製品と違い、接触不良のリスクが上がります。十分な作成の練習をして、作った後の導通テストを入念に行ってください。作り方は、後日別記事にて紹介しようと思います。

配線前に現物を照らし合わせて接続ポート、配線の収納場所を確認する

ケーブルができたら実際に繋ぐポートから通したいルートを通して目的の接続先まで問題なく繋がるかを当てがって確認します。これをやっておくメリットは以下の通り。

  • いざ本番!になってから、「ヤバ、少し足りない、、、」みたいなことが無くなります。(実際本気で焦る。)
  • もし、少ない時間で作り直しすることになれば、作成の精度も落ち、波及事故の温床になります。
  • 本番まで「足りるかなー、大丈夫かなー」といった悶々とした気持ちがなくなります。
  • 配線手順のリハーサルになるので、本番の自信に繋がります。

入念にリハーサルをしておきます。そうすることでどのくらい作業時間が必要なのかも見えてきます。

作業時間は許されるなら実際の作業時間の2倍は取りましょう。

どうせ止めるのです。時間オーバーで不満が出るより余分な時間を取って焦らずゆっくりやって時間内で終わる方が精度も挙がるし不満も出ません。

配線を変更する為にネットを止めるアナウンスを全社にする

リハーサルも出来て大体の作業時間も見積もれるようになったら、ネットワークを止めても影響が少ない日時を決めて全社にアナウンスします。
実はひとり情シスにはここが一番難しいポイント。

  • ネットを止めたい、という願いを直属の上司が許可しない
  • 組んだスケジュールに対し、苦情、質問が殺到する

私の場合、事前に「配線の状態が危険なので配線をこのように交換します」というのを直属の上司に説明したうえで作業に掛かり、スケジュールと全社アナウンスをするということを改めて説明したところ「今それやる必要あるのか?」とちゃぶ台返しをされています。
さらに、各部の部長と止める時間について打ち合わせをしたにもかかわらず、アナウンスを出した途端に

「なんでその時間?誰かに相談してるの?」
「この日止められると困るんだけど」

と言ってくる人も出てきます。

本番も、「ネット使えなくなったんだけどどうなってるんだ!?」という問い合わせが来ます。

情シスの社内パワーがカーストの底辺だと、どんなに予防線を張ってもこんなこと日常茶飯事です。

この防衛策はもうこれしかありません。

  • 直属の上司には念押しに念押しを重ねて説明する。「例の配線の件、アナウンス文書作りました」って言って「ああ、あれ。」ってなる位までは説明しておく。
  • 会社のフォーム、フローに則った通知文書として発信する | 非公式の文書だと難癖が付きやすい
  • 発信は自分ではなく上司にやってもらう | 上司である以上は責任者。
  • それでも「聞いてない」といってくる人の事は考えない

基本、上の人はペーペーのいうことを聞かないもの、と思って仕事しています。上司に言ってもらうのは「虎の威を借る狐」ではありません。責任者はしっかりと自部署の責任を果たすためにいるのです。この時点で「聞いてない」は説明不足が無い限り、自分のせいではなく上司のせいになります。
「そんな舌足らずの説明じゃ伝わるわけない」と責任転嫁されない為にもしっかりとした理論武装と説明はしましょう。

そして、アナウンスされたにもかかわらず「そんなの聞いてない」と言ってくる場合は、その人の直属の上司が周知を怠ったか個人的な憤りです。アナウンスに対して「そんなの初耳だ!」と憤る人もいますが、「むしろどの時点が初耳なら怒らないのか」と考えると結局は案件が耳に入った時点で怒るのです。逆恨み買わない程度にいなして差し上げましょう。ここは会社であり社則に則り組織活動をしているのです。

時間が来たら、時間をたっぷり使って配線を交換する

社内の手続き、儀式が済んだら後は本番です。
昔から「段取り9割、本番1割」と言われていますが、ここまで来たらリハーサル通りやるだけです。

ネットワーク配線図after

これでめでたく配線はきれいになりました。
この時は、電気関係の工事による計画停電の日を使って8時間掛けて行いました。
なので、はみ出していた100V電源線や光配線は元より、サーバ室の模様替えも実施しました。

もう正にビフォーアフターな内容だったので、こちらはまた別記事にて紹介したいと思います。

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