半期に1回訪れる大型アップデート、よくもまぁこんなにネタがあるものだというくらい毎回いろんなバリエーションのトラブルが顔を出します。
その中でも、一つ選択を間違うと恐ろしいことになる事象をご紹介します。
個人データを引き継ぐ項目が選べない事態
この症状に対して有効な情報が結構少ないようで、解決にだいぶ手間取りました。
自分の備忘録と、きっとコレで難儀している人が少なからずいるだろうと思い、情報共有の為記録を残しておきます。
インストーラーを起動し、次へ次へと進むと、インストール手前には以下のように「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」が選ばれた状態になっています。
しかし、今回の現象はこのような画面になります。
「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」、「個人用ファイルのみを引き継ぐ」がグレーアウトになって選択できない状態で、「何もしない」という選択肢しか無い状態です。「何もしない」とかナニソレ、MSまで「レンタルなんもしない人」を始めたのか!?
で、下方を見てみると
「現在のWindowsバージョンがサポートされていないディレクトリにインストールされている可能性があるため、または以前のバージョンのWindowsをインストールしようとしているため、ファイル、アプリ、設定を引き継ぐことはできません」
という表示があります。
色々調べてみると、ユーザーフォルダやWindowsフォルダの構成が変わってたりすると出る症状らしいですが
ここを「データはファイルサーバーにあるから別にいいや」といってそのままインストールを進めてしまうと、見事にデータが消えてしまいます。
で、その消え方が問題なのです。どのレベルまで消えるかというと
「何もしない」を選択するとこうなる。
- IPアドレス周り全ての設定が消える。プロキシ設定とかも全部。
- ドメイン設定が全て消えてコンピュータ名がリセットされるのでActiveDirectoryに登録し直しが発生する
- ファイアウォール設定が全て工場出荷時に戻る
- インストールしていたアプリがごっそりいなくなる。けどofficeは残っていた。
- ユーザープロファイルとその中のコンテンツがごっそりいなくなる
- 電子証明書が消える
ほぼ工場出荷時に戻る、と言ってもいいでしょう
家のパソコンであれば「まぁしょうがねーか」と割り切れることもあるでしょうが、会社のパソコンとなれば話は別です。
もし経理部のパソコンで、銀行と法人向けインターネットバンキングをやってたりすると、電子証明書の再発行が必要になりますが、銀行は結構手続きがめんどいです。
社会保険や生保団体とオンライン手続きの契約を結んでいる場合でも、パソコン縛りでのセキュリティ登録をしているパターンがあったりするので、この再登録もなかなかにめんどくさい作業になります。
その他手続き系ソフトに多いパターンとして、Cドライブのユーザープロファイル内\appdata\LocalLow\ とか \Roaming辺りに初期設定ファイルやら過年度データをこっそり持たせたりしていることが多く、ファイルサーバーに作業ファイルを置いていても結局使えなくなった、ということもあり得ます。
情シス的にはもう生きた心地がしない地獄絵図です。
しかし、以下の方法で危機の打開が図れます。
修正用更新プログラムKB4586853をインストールする
今回の対策はDISM.EXEでもSFCでも直りません。KB4586853をインストールすることで改善されます。
更新プログラムの詳細はこちら。
インストール方法もいたって普通です。
ダウンロードしたファイルを起動して「次へ」を繰り返せばOKです。
PCを再起動して再びアップデートをやり直すと何事もなかったかのようにデータ引継ぎができる状態になっています。
さて、どのような内容の更新プログラムかをハイライトや修正内容で見てみたのですが、本症状とマッチするバグフィックスは見当たりません。
まぁ、ココに記述されない隠れバグフィックスでコッソリ直すなんてのもMSさんはザラにあるので今回もそれなのでしょう。
引継ぎで「何もしない」とサボり発言がでたらこのパッチを充ててみてください。