B'zのLovePhantomをライブでやりたい!という思いつきから、バンドと打ち込みの「同期演奏」をドラマー主体で実現しようという今回の企画。
今回はいよいよ会場で実際に鳴らすためにドラムセットに組込んでいきます。
シンプルな配線でスマートに設置できれば、PAさんともスムーズにやり取りできますし事故も減らせます。
しくじり配線図
シーケンスミックスの回でも説明していますが制作した音源は、Lチャンネルが会場に流すモノラルミックス、Rチャンネルが自分が聞きたいミックス+クリック音となっています。
とりあえず手持ちのイヤホンで何とかやってみようと思い、1回目は以下の配線でトライ。
LチャンネルはPAに送り、Rチャンネルにそのままイヤホンジャックをぶっこむという方法です。
ま、べつにやらずともわかる話なんですが敢えて。この方法は使えません。
不採用理由
- イヤホンのステレオジャック(TRSジャック)をそのまま挿すと片方からしか音が出ない
- そもそもレベルが低すぎて聞こえない
- ボリューム調整もほぼ効かない
そもそもOutput端子はラインアウトレベルの信号で、増幅されることが前提なので出力レベルが全く違います。それに基本的にイヤホンジャックはステレオ仕様のTRSジャック、Outputはモノラル使用のTSジャックなのでモノラル変換をかませないと片方だけしか音が出ません。
なので、イヤホンしか持ってないなら以下の配線になります。
これで音も増幅されて、イヤモニも両方から聞こえます。けど、これも結局不採用です。
不採用理由
- ステレオで鳴るのでRチャンネルからしかクリックが聞こえない
- Lチャンネルも入ってくるので打ち込みの方がどうしても強く聞こえる
- バンドで混ざるとPhoneOutの最大音量でもまだ聞こえが足りない
これも結局はクリック音をRチャンネルにわざわざ振ってる利点を潰す配線になってしまっています。
この配線でもっとクリック音を聴きたい、となるとヘッドホンでがっちり遮音するとかになってきますが、他のパートや外音が聞こえづらくなってしまいます。カナル型のイヤホンでもそうですが、遮音してしまうと一気に没入感が増します。プロのステージみたいにイヤモニで自分に最高のMixが出来上がっていれば没入しても問題ないと思いますが、今回の配線ではイヤモニに入ってくるのはクリック音と打ち込みの音のみなので、没入してしまうともうこれは只々会場でクリック練習をしてるのと変わらなくなってしまいます。
あまり耳を塞がないけど、しっかり自分ミックスは両耳で聞きたい。で、更にPAさんに余り負担を掛けずに安上がりな方法は、、、と都合のいいことを考えてみて、ここが落としどころかな?という方法をご紹介いたします。
落としどころ配線図
最初の配線図でイヤホンの音が両耳からバンドの音に負けない爆音が出せるところまで増幅できればまずは1段階クリアなわけです。ということで、思いついたのがヘッドホンアンプ。ポタアンですね。求める性能としては、
ポタアンに求める性能
- 入力にフォンジャックを使える
- モノラル入力をイヤホンの両耳に出力できる
- 場所を食わない
- 安い
そんな都合のよい製品あるもんかね?と思いながら調べてたらベストなのがありました!
貧乏ミュージシャンの強い味方、ベリンガーがやはりやってくれてました。
入力端子はロック機構付XLR/TRSコンボジャックなので、端子がキャノンでもいけます。但し、TRSジャックはロック機能は効きません。また、ステレオ/モノラルソーススイッチが内蔵されているので、TSジャックを挿せば勝手にモノラル判定されて両耳からモノラル音声が出ます。そして、ベルトパッククリップが付いているのはボリュームつまみにサッと手が行けて地味に便利です。
入力がXLRのみでもよいのであればもう一つ下のグレードのPowerPlayPM1がさらに安価です。
ついでにイヤモニも開放型ってないものか、と思って探してみました。
イヤモニ、というより耳掛け型のイヤホンです。
特徴として、イヤーピースが普通の丸い密閉型の他に、すこし外音が入ってくるように設計された星型のような形状のものもあります。
PowerPlayが結構増幅できるので、とりあえず音質は二の次でも良いのならこの安いモデルでも十分用をなします。
ただ、イヤホンケーブルの取り回しは邪魔にならないように且つ気にならないようにあらかじめ装着の仕方を考えておいた方が良いと思います。演奏中にイヤホンが気になってしまうとそれだけで結構プレイが無意識に委縮しちゃうので。
ということで、最終的な配線図はこんな感じで決まりました。
もし、イヤホンに他パートの音を入れたいとなれば、PAさんの協力を得て以下の配線も考えられます。
但し、この配線はPAのミキサーから自分専用に1系統もらえることが前提になりますし、自分専用のモニターMixをお願いすることになります。その返しも耳に直接入る音なのでコロガシのモニターもっと繊細なボリューム調整が要求されます。PAさんには結構な負担となりますので、入念に打ち合わせが必要です。
個人的には生音を聴いて演奏したいことと、PAさんに余計な負担を掛けたくないのでOutput(R)を直接イヤホンに入れる方を執ります。
ドラムセットにセッティング
配線が決まれば後は実際のセットに組み込んでいきますが、何処にセッティングするかが結構悩ましいですね。
因みに、有名なSPD-SX使いさんを見てみると、「Official髭男dism」の松浦匡希さんはハイハットの左隣、「King Gnu」の勢喜遊さんはハイタムの辺りですね。
で、私もいろんな位置にセッティングを試してみました。
フロアタムの奥側
ライドシンバルを叩く要領でセットすれば手が行きやすいかな、と思って買い始めのころはセットしていました。けど、ストレートスタンドからセッティングすると意外と遠い。パッチ切替が少々難儀するのと、単体でビートを刻むときにバスドラムを踏む姿勢が苦しいという理由からこの位置はやめています。
ハイタムの位置
自然とセットになじみますが、ついつい癖でタムと間違えて叩いてしまいます。だからと言ってハイタムの左側に置くと左側のシンバル類と干渉しやすくここもあんばいがよくありません。
ハイハットの左側
結局この場所に落ち着いています。サブスネアの要領で叩けば割とビートも一発物もこなせます。強いてデメリットと言えば、狭いライブハウスでやると出入りのスペースに置くことになるので閉じ込められてしまう傾向にあります。また、近づけてセッティングすると右側のパッドがハイハットと重なるので叩きづらい、ということですかね。まぁ、体が柔らければ問題にならないことです。
これでSPD-Sを使った同期演奏の準備が機材的には整いました!
あとは練習とメンバーの意見を聞きながらの微調整になっていきます。